この本で、筆者の成毛眞さんは、定年したらすべてを楽しい方に変えろ、真面目に生きてきた人ほど定年後はわがままに生きるべきだということを強く主張しています。
この本は、そのような筆者のお考えの下、「あれもこれもやりたいのに時間が足りない……」という嬉しい悲鳴を上げながら過ごすための成毛流「定年後の生き方指南」について書かれたものです。
筆者の成毛眞さんは、マイクロソフト日本法人代表取締役社長などを務められた実業家です。
投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立されたり、現在は、書評サイト「HONZ」代表を務められております。
著書には「本は10冊同時に読め!~本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 」(知的生きかた文庫)、「amazon~ 世界最先端の戦略がわかる」(ダイヤモンド社)、「アフターコロナの生存戦略~不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト」(KADOKAWA)、「バズる書き方~ 書く力が、人もお金も引き寄せる」(SB新書)など多数あります。
この本は、次の6章で構成されています。
第1章 60歳になったら、新しい人生を歩み出せ
第2章 定年したら、サラリーマン的生活は捨てろ
第3章 近所を歩けば次々と楽しみが見つかる
第4章 60歳からは愛想よくしようなんて考えるな
第5章 自分を拡張する10のツールを手に入れろ
第6章 計画は壮大かつほどほど綿密に立てよ
この本の前半で、筆者は「60歳になったら、新しい人生を歩み出せ」「定年したら、サラリーマン的生活は捨てろ」について書いています。印象に残ったのは次のような点です。
- それまでの人生から仕事だけを取り除くのではなく、まったく別の人生を模索し、組み立て、挑戦するのが健やかな定年後にはうってつけだと考える姿勢に学ぶべきである。
- 定年後は、単に仕事を手放し、その結果として時間をもてあますのではなく、「好きなこと」を手に入れるべきである。自分を子供時代の環境におけば、好きなことと再会できる。
- 定年後の自分探しは時間切れで終わる可能性が高い。それでもしたいなら、自分の好きなものを探そうとするのではなく、自分に向いたもの、「自分の使い道」を探した方が良い。
- 長い時間をかけて仕事のために身につけてきた生活習慣を一度リセットして、定年後の生活にふさわしいそれを再構築すべきである。
- 金曜を1週間の始まりとして、水木を週末(休みや遊びにあてる日)とすると、会社員と休みの日がずれ、混んだ街や観光地に出かけなくてよくなるから、生活は快適になる。
この本の中盤で、筆者は「近所を歩けば次々と楽しみが見つかる」「60歳からは愛想よくしようなんて考えるな」について書いています。印象に残ったのは次のような点です。
- 地図を持ちアプリを使いながら近所を探索していると、知らなかった店との出会いがある。特にチェックしたいのは古本屋と、個人経営のほどよく空いた喫茶店である。
- いろんなバス路線を使って出かけることを繰り返していると、生まれ育った所であっても、初めて足を踏み入れる土地がいくつもあることを発見し、刺激的である。
- ネットと違い、そこへ行かないと得られない情報もある。人があまり行かないようなところに、思わぬ情報が偏在していることもある。その意味で「企業系博物館」は面白い。
- 会社では嫌いな人ともうまくやることを求められ、その状態が正しいと信じ込んでいる人が多いが、定年後はすべてがプライベートであり、つきあいたい人とだけつきあえば良い。
- 定年によって利害関係から解放されると「失うものがない人」になる。守りたいものがある人に比べ自暴自棄・暴走老人になりやすいので、最後の関門として配偶者は必須である。
- 無理をして好きでもないものを見たり聞いたりするから、小言が出てくる。「小言ジジイ」にならないための最高の方法は、小言の対象を自分から遠ざけることである。
この本の後半で、筆者は「自分を拡張する10のツールを手に入れろ」「計画は壮大かつほどほど綿密に立てよ」について書いています。印象に残ったのは次のような点です。
- 定年後の生活において、生命維持のためにどうしても必要なものでないにしても、健康で文化的な最低限度の生活を送るために欠かせない必需品を買わない理由はない。
- まず買うべきはメガネで、遠視用、近視用、パソコン作業に適した中距離用の3つを揃えることをすすめる。架け替える楽しさがあるからだ。
- 温度・湿度計を居間や寝室に置き、体でなんとなく感じてきた温度・湿度を正確に把握することをすすめる。温度・湿度に興味を持てば、健康への対策をしようという気にもなる。
- 定年後の趣味は、ゆっくり時間をかけて大作を作りあげる方が長く楽しみを続けられるし、小さいものであっても、急がず、また、終わりを決めてしまわない方がいい。
- 積ん読状態を恐れ、読み終わるまで次の本を買わない人は、自分への期待の機会損失を生む。今後読む本は知識がパッケージ化された可能性の塊だから、近くに置いておきたい。