はじめに
日常サポート契約について考え始めると、「任意後見契約も一緒に考えたほうがよいのでは?」「同時に準備しないといけないのでは?」と迷う方も少なくありません。
制度の名前が並ぶと、どうしても、「全部そろえないと不安」「同時に決断しないといけない」という気持ちになりがちですが、実務の視点から見ると、必ずしも一緒に考える必要はありません。
このコラムでは、それぞれの役割の違いから、考える順番を整理してみたいと思います。
(※)このコラムで使っている「日常サポート契約」という言葉は、一般に任意代理契約や事務委任契約、見守り契約などと呼ばれている仕組みを、分かりやすくまとめた表現です。

そもそも、役割が違う契約です
日常サポート契約と任意後見契約は、似ているようで役割が異なります。
日常サポート契約は、判断能力がしっかりしている「今」の生活を支えるためのものです。通院や入院時の付き添い、役所手続のサポート、日常的な事務の整理など、今困っていること、これから起こりそうな不安に対応するための契約といえます。
一方、任意後見契約は、将来、判断能力が低下した場合に備えるための契約です。現時点では使われず、一定の状態になってから効力が生じる点に特徴があります。
このように、「今を支える契約」と「将来に備える契約」では、前提となる場面がそもそも違います。

なぜ「同時に考えなくてよい」のか
同時に考えなくてよい理由は、役割と考える場面が違うからです。
日常サポート契約は、今の生活の延長線上で考えることができます。
「これから少し不安になりそうだな」「家族に頼りきりになるのは気が引ける」と感じた段階で検討しても、決して早すぎることはありません。
一方で、任意後見契約は、将来の判断能力低下を想定するため、内容を考えるには少し落ち着いた時間と心の余裕が必要になります。今すぐ結論を出す必要がないからこそ、生活が安定してから考えるという選択も十分に合理的です。
「同時に考えない」というのは、先送りにするという意味ではありません。それぞれの契約が必要になる場面を分けて考える、という整理です。

実務では、どのように進めることが多いか
実務の現場では、まず日常サポート契約から検討される方が多く見られます。
日々の生活の不安を整理し、サポートの範囲を明確にすることで、気持ちが落ち着くケースも少なくありません。
その後、生活が安定した段階で、「将来のことも一度整理しておこうか」と任意後見契約を検討する、という流れを取る方もいます。
途中で立ち止まったり、考えるのをやめたりしても問題はありません。契約は「一度に全部決めるもの」ではなく、必要に応じて段階的に考えていくものだからです。
実際のケースを見ると、「早すぎるかどうか」よりも、状況が変わってからでは遅くなるという側面が見えてきます。

順番を分けると、考えやすくなります
日常サポート契約と任意後見契約を分けて考えることで、「今の生活」「将来の備え」をそれぞれ落ち着いて整理できます。
一度にすべてを決めようとしなくても大丈夫です。
今の生活に必要なことから順番に考えていくことで、結果的に無理のない準備につながります。

まとめ
日常サポート契約と任意後見契約は、役割や前提となる場面が異なります。
そのため、同時に考えなくても問題はありません。
まずは今の生活に必要なことから整理し、落ち着いた段階で将来の備えを考えていくことで、無理のない準備につながります。
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