はじめに
建設業許可というと、会社が取得する制度という印象を持たれることもあります。
一方で、建設工事の現場では、個人事業主として事業を営んでいる方も少なくありません。
そうした状況の中で、次のような疑問が生じるのではないでしょうか。
- 個人事業主でも建設業許可は取得できるのか
- 会社を設立しなければ許可は取れないのか
- 一人親方でも申請することはできるのか
今回は、この点について、建設業許可の制度の基本的な考え方を整理してみたいと思います。

個人事業主でも建設業許可は取得できる
結論から言えば、建設業許可は法人だけでなく、個人事業主でも取得することができます。
建設業法では、建設業を営もうとする者が一定の要件を満たした場合に、許可を受けることができる仕組みになっています。この「者」には、法人だけでなく個人も含まれます。
そのため、個人事業主として建設業を営んでいる場合でも、必要な要件を満たしていれば建設業許可を取得することが可能です。
制度の上では、法人であるか個人であるかによって、許可を受けることができるかどうかが決まるわけではありません。
従業員を雇わず、自分一人で現場に出ている「一人親方」の方であっても、経営経験や技術者としての要件を満たしていれば、建設業許可を取得することは可能です。

「会社でないと取れない」と思われやすい理由
それでも、建設業許可は会社でないと取得できないという印象を持たれることがあります。
その背景としては、いくつかの事情が考えられます。
- 許可を取得している事業者の多くが法人である
- 元請会社との取引の中で法人化が求められることがある
- 事業規模が大きくなると法人化するケースが多い
こうした状況から、建設業許可は会社が取得するものという印象が生まれやすくなっていると考えられます。
しかし、これは制度上の条件というよりも、実務の中で見られる傾向といえます。

個人事業主でも許可が関係してくる場面
個人事業主として建設業を営んでいる場合でも、建設業許可との関係を整理しておく必要がある場面があります。
例えば、次のような場合です。
- 請負金額が500万円以上となる工事を受ける場合
- 元請会社から建設業許可の有無を確認される場合
- 事業規模の拡大に伴い工事の金額が大きくなってきた場合
前回のコラムで整理したように、建設業では請負金額が500万円以上となる工事を請け負う場合には、原則として建設業許可が必要になります。
そのため、個人事業主として事業を営んでいる場合でも、工事の内容や規模によっては建設業許可が関係してくることがあります。

個人と法人で考え方が変わる場面
建設業許可は個人でも取得できますが、個人事業主と法人では、いくつかの場面で整理の仕方が変わることがあります。
例えば、次のような点です。
- 事業の継続の考え方
- 代表者の変更
- 事業承継
法人の場合には、建設業許可は会社に対して与えられます。一方、個人事業主の場合には、許可は事業を行っている本人に対して与えられる形になります。
そのため、事業の継続や承継の場面では、手続の整理の仕方が変わることがあります。将来の事業の形や承継の考え方によっては、法人化とあわせて検討されることもあります。

まとめ
建設業許可は、法人だけが取得できる制度ではなく、個人事業主でも取得することができます。
一方で、実務の中では法人が許可を取得している例が多いため、会社でないと許可を取ることができないという印象を持たれることもあります。
個人事業主でも建設業許可を取得できるという制度の基本を押さえたうえで、工事の内容や事業の状況に応じて、許可との関係を整理していくことが大切になります。


