はじめに
高齢期の不安というと、介護が必要になったときや、大きな病気が見つかったときに突然生じるもの、というイメージを持たれがちです。
しかし、実際には、何か特別な出来事が起きたわけではなくても、日常生活の中でふと不安を意識する瞬間があります。
「今すぐ困っているわけではないけれど、少し気になる」
そんな違和感から、不安は静かに表に出てくることが少なくありません。

「何かあったわけではないけれど…」という感覚
高齢期の不安は、明確な理由を伴わないことがあります。
体調が急に悪くなったわけでもなく、生活が大きく変わったわけでもない。それでも、「このままで大丈夫だろうか」と感じることがあります。
このような不安は、説明しづらいために、つい見過ごされがちです。
しかし、「理由がはっきりしない不安」は、決して珍しいものではありません。生活を続ける中で、少しずつ積み重なった感覚が、あるタイミングで意識にのぼってくるだけなのです。

生活の変化がきっかけになること
不安が表に出るきっかけとして多いのが、日常生活の小さな変化です。
通院の回数が増えた、疲れやすくなった、これまで気にならなかったことに時間がかかるようになった。
こうした変化は、生活の延長線上にあるものですが、「これから先」を意識するきっかけになります。
変化そのものが問題なのではなく、「以前と同じようにはいかないかもしれない」と感じた瞬間に、不安が形を持ち始めるといえるでしょう。

家族との距離を意識したとき
家族の存在も、不安が表に出るきっかけになります。
連絡は取れているものの、以前より頼る場面が増えたと感じたり、「もし今、何かあったらどうなるだろう」と考えたりすることがあります。
前回コラム(家族がいるのに不安を感じるのは、おかしいこと?― 「頼れる家族」と「頼みにくさ」)で触れたように、家族がいることと、頼りやすさは必ずしも一致しません。その距離感を意識したときに、不安が現実味を帯びてくることがあります。

手続や判断を前にしたとき
契約書や書類を前にしたとき、不安を強く意識する方もいます。
内容を理解しようとして立ち止まったり、「これは自分一人で判断してよいのだろうか」と感じたりする場面です。
こうしたときに生じる不安は、判断能力の問題というより、「一人で背負っている」という感覚から生まれることが多いように思われます。これまで当たり前にこなしてきたことでも、将来を意識した瞬間に重く感じられるのです。

不安が出てきた=何か決めなければ、ではない
不安を感じたからといって、すぐに何かを決めなければならないわけではありません。大切なのは、「不安に気づいた」という段階に意味があるということです。
不安は、問題のサインであると同時に、立ち止まって考えるきっかけでもあります。
今すぐ結論を出す必要はなく、何が気になっているのかを整理するだけでも、気持ちは落ち着いてきます。

まとめ
高齢期の不安は、生活の中で静かに表に出てくるものです。はっきりした理由がなくても、不自然なことではありません。
大きな出来事が起きる前に感じる違和感は、「これから」を考える準備が始まったサインともいえます。
不安を否定せず、そのまま受け止めて考えていくことが、次の一歩につながります。
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