小規模事業者持続化補助金の補助対象経費とその区分に応じた活用事例についてです。
①機械装置等費
補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費です。対象となる経費の例は、次のとおりです。
- 高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア
- 衛生向上や省スペース化のためのショーケース
- 生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫
- 新たなサービス提供のための製造・試作機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンター含む)
- 販路開拓等のための特定業務用ソフトウェア(精度の高い図面提案のための設計用3次元CADソフト、販促活動実施に役立てる顧客管理ソフトなど)
- 自動車等車両のうちブルドーザー、パワーショベルなどの自走式作業用機械設備
②広報費
パンフレット・ポスター・チラシなどの作成や、広報媒体等の活用のために支払われる経費です。
単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は、補助対象外です。例えば、販路開拓に繋がる商品・サービスの名称や宣伝文句が付記されていないものは補助対象外ということです。
対象となる経費の例は、次のとおりです。
- チラシ・カタログの外注や発送
- 新聞・雑誌等への商品・サービスの広告
- 看板作成・設置
- 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)
- 販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)
- 郵送による DM の発送
なお、ウェブや動画に関する広報費用については、次のウェブサイト関連費への計上となります。
③ウェブサイト関連費
販路開拓などを行うためのウェブサイトや EC サイト、システム(オフライン含む。)などの開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費です。
注意点としては、ウェブサイト関連費のみによる申請はできなくて、必ず、ほかの経費と一緒に申請しないといけないという点です。
また、ウェブサイト関連費は、その申請額の上限が、補助金交付申請額の1/4がとされております。例えば通常枠の場合、12.5 万円が、ウェブサイト関連費の申請額の上限となります。
対象となる経費の例は、次のとおりです。
- 商品販売のためのウェブサイト作成や更新
- インターネットを介したDMの発送
- インターネット広告
- バナー広告の実施
- 効果や作業内容が明確なウェブサイ トの
- SEO 対策
- 商品販売のための動画作成
- システム開発、構築に係る経費(インターネットを活用するシステム、スマートフォン用のアプリケーション、業務効率化のためのソフトウェアなど)
- SNSに係る経費
④展示会等出展費
新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費です。オンラインによる展示会・商談会等についても含まれます。
展示会出展の出展料等に加えて、関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代などは除く。)・通訳料・翻訳料も補助対象となります。
⑤旅費
販路開拓(展示会等の会場との往復を含む。)などを行うための旅費です。
補助事業計画に基づく販路開拓を行うための出張である旨を記載した出張報告の作成などにより、必要性が確認できるものが補助対象となります。したがって、補助事業計画に明記されていない出張の場合は、補助対象外経費となります。
また、通常の営業活動に要する経費とみなされる場合は補助対象外です。
対象となる経費の例は、次のとおりです。
- 展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査等に係る、宿泊施設への宿泊代
- バス運賃・電車賃・新幹線料金(指定席購入含む。)・航空券代(燃油サーチャージ含む。エコノミークラス分の料金までが補助対象)、航空保険料、出入国税
⑥新商品開発費
新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費です。
購入する原材料等の数量はサンプルとして使用する必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切ることが必要とされています。すなわち、実際に使用したもののみが補助対象になります。
対象となる経費の例は、次のとおりです。
- 新製品・商品の試作開発用の原材料の購入
- 新たな包装パッケージに係るデザイン費用
⑦資料購入費
補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費です。
取得単価が税込で10万円未満のものに限られています。
また、購入する部数・冊数は1種類につき1部(1冊)を限度とされています。すなわち、同じ図書の複数購入は補助対象外となります。
⑧雑役務費
販路開拓を行うために必要な業務・事務を補助するために補助事業期間に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費です。
実績報告の際に、作業日報や労働契約書等の提出が必要となります。作業日報や労働契約書等については、詳細な説明や資料を求められることがあります。なお、業務内容が確認できない場合には、補助対象とならないとされています。
⑨借料
補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費です。
商品・サービス PR イベントの会場を借りるための費用は、この借料に該当します。
⑩設備処分費
販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大するなどの目的で、
- 事業者自身が所有する死蔵の設備機器などを廃棄・処分するのに必要な経費
- 借りていた設備機器などを返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費
です。対象となる経費の例は、次のとおりです。
- 既存事業において使用していた設備機器などの解体・処分費用
- 既存事業において借りていた設備機器などの返却時の修理・原状回復費用(賃貸借契約が締結されており、使用者であることが法的に確認できることが必要です。)
⑪委託・外注費
上記の各経費に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費です。これは、自ら実行することが困難な業務に限られています。
例えば、デザイン会社によるデザインの外注など、補助事業者が通常事業として実施している業務については、「自ら実行することが困難な業務」に含まれません。
対象となる経費の例は、次のとおりです
- 店舗改装・バリアフリー化工事
- 利用客向けトイレの改装工事
- 製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事
- 移動販売等を目的とした車の内装・改造工事
- (補助事業計画の「Ⅰ.補助事業の内容」の「3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容」に記載した場合に限り)従業員の作業導線改善のための従業員作業スペースの改装工事
- インボイス制度対応のための取引先の維持・拡大に向けた専門家(税理士、公認会計士、中小企業診断士等)への相談費用
概要は以上のようになりますが、公募要領では、補助対象とならない経費についても細かく記載されており、注意が必要です。