この本は、老後不安をなくすにはどうすればよいのかについて、それは老後をなくすことであり、働いている限りは老後はない、という考え方を軸として、定年後の人生の楽しみ方が書かれています。
特に、60歳以降の働き方として起業を強く勧めており、定年起業について様々なアドバイスがされています。
筆者の大江英樹さんは、証券会社に定年まで勤め、半年の再雇用を経て退職の後、起業された経済コラムニストです。
大江さんは、経済やお金、定年後の生活の知識を伝える活動として、講演、雑誌への執筆などを行っており、主な著書に「定年前、しなくていい5つのこと ~「定年の常識」にダマされるな!」(光文社新書)、「となりの億り人~サラリーマンでも「資産1億円」」(朝日新書)、「50歳からやってはいけないお金のこと」(PHPビジネス新書)などがあります。
この本は、次の5章で構成されています。
- 第1章 定年を迎える前に知っておきたい「生き方」「働き方」の現実
- 第2章 もう絶対に迷わない「再雇用」と「転職」のマナーとルール
- 第3章 自由な人生を楽しみたい人のための「定年起業」の“傾向”と“対策”
- 第4章 “しくじり”から“成功法則”までウソ偽りなしの「60歳起業日記」
- 第5章 働くことで自然と実現できる次の世代への“恩返し”
この本の前半で、筆者は、「定年を迎える前に知っておきたい「生き方」「働き方」の現実」について書いています。印象に残ったのは次のような点です。
- 「老後不安」をなくすためのたった1つの方法とは「老後」をなくすことである。働いている限り老後はない。老後の三大不安は、働くことによってその多くが解決できる。
- 自分の生活や人生については、誰も責任を取ってくれるわけでもないので、自分でリスクを取って踏み出すことがあって良い。とは言っても60歳以降に取れるリスクというのは知れている。
この本の中盤で、筆者は、「もう絶対に迷わない「再雇用」と「転職」のマナーとルール」について書いています。印象に残ったのは次のような点です。
- 再雇用で残って働く人は、自分の役割や存在意義を理解し、後輩や若い社員の人たちと協調しながら、彼らにとって役に立つ存在として仕事を進めていくことが非常に重要である。
- 転職には、再雇用にないメリットがあり、それは、①業務知識や経験を買われてのことであり期待されて入社すること、②気分一新になること、③自分に対するイメージがまったく白紙の状態で行くことである。
- 再雇用・転職、いずれの場合にも重要なのは、①でしゃばらず、何でも頼めば快く引き受けてくれるという「人柄」の良さと、②自分中心に話をするのではなく、相手の話を丁寧に聞いてあげる「コミュニケーション能力」である。
この本の後半で、筆者は、「自由な人生を楽しみたい人のための「定年起業」の“傾向”と“対策”」「“しくじり”から“成功法則”までウソ偽りなしの「60歳起業日記」」「働くことで自然と実現できる次の世代への“恩返し”」について書いています。印象に残ったのは次のような点です。
- 定年起業のメリットは、①いつまでも「自分の居場所」を持ち続けることができること、②働くペースも自分で決めることができること、③臨機応変にビジネスを変えていくことができることである。
- 創業者にとって、企業理念は自分の仕事をするうえで命にも等しいものであり、企業理念のない「ゆる~い起業」では必ず失敗する。
- 起業で大切なことは、自分のことを知ってもらうために、まず人のために何かしてあげる「ギブ・ファースト」である。ギブでなくテイクのみを考えている人が集まるビジネス交流会に出かけても何の意味もない。
- 孔子の言葉に「好きなことを仕事にすれば、一生働かなくて済む」というのがあり、好きなことを仕事としてやっていれば、それは楽しみであっても、決して苦役ではないということである。
- サラリーマンの場合、どこかで必ず先の見えてくる時が来る。そこからはギアチェンジして、ワーカーからプレーヤーを目指していくことを考えてみるというのはどうか。