成年後見人の行う業務には、大きく分けて、財産管理と身上監護があります。
財産管理は本人の財産を管理することです。具体的には、次のようなものがあります。
- 預貯金、保険、有価証券の管理や処分
- 年金、生活保護の申請や受領
- 収入、支出の管理
- 相続における手続 など
身上監護は本人の生活や健康・療養などの支援をすることです。具体的には、次のようなものがあります。
- 本人の住居の確保
- 病院での治療、入院手続
- 施設の入退所の契約締結
- 介護に関する契約締結 など
成年後見人が、上記の財産管理・身上監護の業務を行う際には、本人の意思を尊重し、かつ、本人の心身の状態や生活の状況などに配慮しなければいけません。
成年後見人ができないこと
なお、以下のことについては、成年後見人が行うことができません。
- 料理、掃除などの家事
- 実際の介護
(このような生活や健康管理のために直接的に行う行為を事実行為といい、成年後見人はできません。)
- 養子縁組
- 婚姻届や離婚届の提出
(このような法律上の身分関係の効力を発生、変更、消滅させる行為を身分行為といい、成年後見人はできません。)
- 手術への同意
- 延命治療の中止
- 臓器提供の意思表示
(このような医療行為への同意は、成年後見人はできません。)
- 日用品の購入の取消し
(ティッシュペーパーなどの日用品を購入したとしても、本人の意思を尊重することおよび購入金額は高額ではないことから、成年後見人は取り消すことができません。)
- 施設入所時などの保証人になること
(成年後見人は、本人と同一の立場であり、自分で自分の保証をすることは不可能だから、保証人や身元引受人になることはできません。)