高齢者施設への入居は、ご本人やご家族にとって、安心した生活を送るための大切な一歩です。
その一方で、契約や費用、保証人の確保といった場面で「思っていたのと違った」と感じることもあります。
今回は、入居の際によくある注意点を整理し、安心して手続きを進めるための備えについて書いてみました。
契約で見落としがちなポイント
入居契約書には「入居一時金」「月額費用」「追加費用」など専門的な用語が並びます。
説明を受けても理解が難しく、後で「こんなにかかるとは思わなかった」と驚かれる方もいます。
また、契約書に「保証人」とだけ書かれている場合、その責任範囲がはっきりしないまま署名してしまうこともあります。
備えのポイント
契約書は必ず隅々まで確認し、不明点は施設担当者や専門家に遠慮なく質問しましょう。可能であれば、ご家族や第三者に同席してもらうと安心です。

保証人や連絡先の準備について
多くの施設では「身元保証人(身元引受人)」を求めていますが、「保証人」と聞くだけで連帯保証人のように重く受け止められ、引き受け手が見つかりにくいことがあります。
身元保証人は緊急時の連絡や入退所の調整など生活面の支援に加え、入居費用や利用料が滞りなく支払われることを確実にする役割も期待されます。
これは「未払いを代わりに払う」ことではなく、「滞納を防ぐ保証」と捉えると分かりやすいでしょう。後見人が財産管理をしている場合、その仕組みをもって施設側が安心し、追加の保証を求められないこともあります。
私の同僚の行政書士が対応したケースですが、ご高齢の方が「何か保証人とか言われてるけど…」と戸惑っていたそうです。詳しく確認すると、施設が求めていたのは「支払いがきちんと続くことの後ろ盾」であり、借金の連帯保証人のような話ではなかったということでした。
備えのポイント
信頼できる人と事前に話し合い、必要に応じて事務委任契約(任意代理契約)や後見制度を利用することで、施設側の要望に応えやすくなります。

退去や解約のときに気をつけたいこと
退去時に「思った以上に費用がかかった」「解約条件がわかりにくかった」といった声は少なくありません。
特に入居一時金の返還条件や、原状回復の費用をめぐって入居者と施設の間で認識がずれることがあります。
備えのポイント
契約前に「退去時の費用」「解約の条件」を必ず確認しておくことが重要です。書面で残しておけば、後々の行き違いを防げます。

サービス内容の確認不足から生じる行き違い
「介護サービスが思っていたより少ない」「医療対応が十分でなかった」といった行き違いもあります。パンフレットや口頭説明に頼りすぎると、入居後に「聞いていた話と違う」と感じることがあるのです。
備えのポイント
サービス内容は契約書で確認し、食事・介護・医療対応など具体的にどこまで含まれているかをしっかり確認しましょう。

入居後の暮らしで生じやすい不安
入居者同士の人間関係や、職員とのコミュニケーション不足が不安につながることもあります。
備えのポイント
事前に見学や体験入居をして施設の雰囲気を感じておくことが大切です。相談窓口や苦情対応の仕組みも確認しておくと安心です。

行政書士ができるサポート
行政書士は、入居契約や保証人制度に関する不安を整理し、安心して手続を進められるようお手伝いします。
- 契約書のチェックとリスクの説明
- 保証人や後見制度に関する相談
- 必要書類の準備サポート
人生の大きな決断を前に、専門家の力を借りることでご本人もご家族も安心して進められます。

まとめ
高齢者施設入居にあたっての注意点は、次のように整理できます。
- 契約内容の確認不足
- 保証人や連絡先の準備不足
- 退去・解約条件の理解不足
- サービス内容の認識のずれ
- 入居後の生活上の不安
事前に確認し、必要に応じて専門家へ相談することで、「こんなはずじゃなかった」を防ぎ、安心して暮らしを始められます。
行政書士ストック法務事務所は、川崎くらし安心パートナーズの一員として、あなたの不安を、安心に変えるサポートに取り組んでいます。
