高齢になると、思いがけない入院や体調不良、施設入居といった出来事に直面することがあります。そんなときに欠かせないのが「緊急連絡先」です。
ところが「頼れる家族が近くにいない」「連絡できる人が思いつかない」と不安を抱える方も少なくありません。実際に緊急連絡先がないと、病院や施設での手続きが滞り、ご本人も不安な思いをすることがあります。
今回は、緊急連絡先の重要性と、事前に準備しておきたいことを整理してみます。
なぜ病院や施設は緊急連絡先を求めるのか?
病院や高齢者施設では、入院や入居の際に「緊急時に対応できる人の連絡先」を登録するよう求められます。主な場面は次のとおりです。
- 体調が急変したときの連絡
- 治療方針や契約手続きの確認
- 退院・退所時の受け入れ先の調整
もし緊急連絡先がなければ、施設側は承認や調整ができず、入院や入居が遅れることもあります。つまり、緊急連絡先は、ご本人が必要な医療や介護サービスを確実に受けるための「橋渡し役」といえるのです。

緊急連絡先がいないと起こる困りごと
実際に緊急連絡先がいない場合、次のような問題が起こりやすくなります。
手続きが進まない
同意書や契約書に署名できる人がいなければ、入院や手続きが滞ってしまいます。
施設や病院の受け入れが難しくなる
特に高齢者施設では「身元引受人」を必須条件とするケースが多く、連絡先がないと入居を断られることもあります。
本人の安全が確保されにくい
緊急時に連絡できる人がいなければ、医療や介護の判断が遅れ、命に関わるリスクが高まります。
これらは「本人の意思を尊重したいが確認できない」という施設側の事情と、「頼れる人がいない」という本人の事情がぶつかることで生じる問題といえます。

事前に備えておきたいこと
では、具体的にどのような準備をしておけばよいでしょうか。
身元引受人を決めておく
家族や親族がいれば安心ですが、近くにいない場合は信頼できる友人や専門家にお願いする方法もあります。
緊急連絡用の情報を整理する
氏名・住所・電話番号・続柄・連絡可能な時間帯などを紙やスマホにまとめておくと、周囲も対応しやすくなります。
任意代理契約や任意後見契約を検討する
将来的に本人が判断できなくなる場合に備えて、契約で代理人に手続きを任せられるようにしておくと、緊急時もスムーズです。
必要な書類を準備しておく
健康保険証、診断書、過去の検査結果、緊急連絡先リストなどをファイルにまとめておくと、いざというときにすぐ提示できます。
こうした備えがあるかどうかで、安心感は大きく変わります。

行政書士ができるサポート
「誰に頼めばいいのかわからない」「書類の整理が大変そう」と感じる方にとって、行政書士は身近な相談先になり得ます。
- 緊急連絡先リストの整理や必要書類の確認
- 任意代理契約や任意後見契約の作成支援
- 病院や施設で必要となる書類準備のサポート
専門家をうまく活用することで、ご本人だけでなくご家族の負担も減らすことができます。

まとめ
緊急連絡先がないと、入院や施設入居がスムーズに進まなかったり、本人の安全確保が難しくなったりする可能性があります。
家族や友人が近くにいない場合でも、事前に身元引受人を決め、必要な情報を整理しておくことが大切です。さらに、任意代理契約や任意後見契約を活用すれば、将来的にも安心につながります。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、信頼できる人に声をかけてみること。それが、いざというときに慌てずに済む、一番の備えになります。
行政書士ストック法務事務所は、川崎くらし安心パートナーズの一員として、あなたの不安を、安心に変えるサポートに取り組んでいます。
